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黒翼以外の小説に関しても少しだけ。
この「雨の日」は今までに投稿した作品の中で1番いい評価を頂けています。
犬の話。
なんですが…これ、大分前に書いた小説のリメイクでして…。
しかも、昔はこれ人間同士の話でした。
大本は高校時代に書いていた長編小説。少年と青年の旅物語で、主人公AとBの関係を書くための番外編が「雨の日」なのです。
何故この話を投稿したかは…話したらお叱りを受けそうな気がします。
結構な失礼な理由です。読んでくださる方に。
主人公が犬になったのは、人間同士だとBLに見えるからですが…。
リメイクする前の人間同士のも載せておきますです。
大分前に即興で書いたものなので、色々見苦しいとは思いますが…。
あの冷たい雨の日に
差し出された冷たい手は
今まで感じたこともないくらいに
とても……
毎日毎日、飽きもせずよく振るものだ、と、窓のふちに頬杖をついて裕炎はぼんやりと灰色の空を見上げた。
別に雨は嫌いじゃないけれど。
それでも、毎日部屋に閉じこもりきりはつまらない。
「なあ、外出ていい?」
部屋の中を振り返ると、のんびりと茶を飲んでいる保護者たち。いつもこんな調子でいてよく退屈しないな、と不思議に思う。
「でも、結構振ってますよ?」
遠慮がちに、やめておいた方がいいと言うのは風恵で。
「何馬鹿言ってんだ」
冷たくばっさりと斬り捨てるのが水生。
「風邪でもひかれたら迷惑だ」
続いて言われた言葉に、裕炎は唇を尖らせる。
「風邪なんかひかねえもん」
「とか言っておいて、この間寝込んだのはどこのガキだ」
裕炎は割りと丈夫な方なのだが、先日、雨の日に2時間ほど外を出歩いて熱を出してしまったばかりである。
そんなことがあった後で、この保護者が簡単に外に出してくれるはずがなかった。
「まあ、水生も心配らしいですから、退屈でしょうけれど諦めてください」
水生の冷たい言い方に、風恵も苦笑しながらフォローを加えておく。
「スイのけーち、女顔ー」
裕炎は拗ねたように言いながら、再び窓の外へと視線を戻す。
心配されているのは、風恵に言われるまでもなく分かっている。
そうやって心配されるのは嬉しいし、心配かけるのは悪いと思うけど。
ただ時々、無性に雨に打たれていたくなるのだ。
幼い頃は、雨が大嫌いだった。
一人で外にいるのが寂しくて、空が暗いと心細さが増すようで。
いつもは空を見ていると安心できるのに、雨の日だけは怖かった。
だけど。
『こんな所で何をしている』
冷たい声、冷たい眼をした雪のように綺麗なヒト。
独りじゃなくなったのが雨の日だから。
だから今は、雨が好き。
差し伸べられた手はとても冷たかったけれど
何よりも温かかったんだ。